n8nを利用した動画生成システム、物件紹介に生かしてみよう

Googleスプレッドシートの設定

まず、動画生成に必要な情報を管理するスプレッドシートを準備します。シート内には「動画タイトル」「アイデア」「制作状況」という列を作成し、制作状況が「要作成」となっている行のみを抽出するフィルター機能を設定します。これにより、複数の動画企画を効率的に管理できます。

n8nのGoogleシートモジュールでは「シート内の行を取得する」機能を使用し、フィルター条件として「制作状況＝要作成」を設定します。さらに「最初に一致した行のみ返す」オプションをオンにすることで、一度に一つの動画のみを処理するよう制御します。

AIプロンプト生成の仕組み

基本LLMチェーンモジュールを使用してChatGPTと連携します。システムプロンプトには「あなたは熟練のプロンプトエンジニアです。動画用のボイスや画像プロンプトをシーンごとに作成してください」といった指示を設定し、構造化出力パーサーによってJSON形式での一定の出力フォーマットを強制します。

ユーザーメッセージ部分には、前のモジュールから取得した動画タイトルやアイデアの情報を動的に挿入します。例えば「動画タイトル：{{$node[“GoogleSheets”][“json”][“アイデア”]}}」のような形で、スプレッドシートのデータを直接プロンプトに反映させます。

JonTo Video APIとの連携

HTTPリクエストモジュールを使用してJonTo Video APIに動画生成を依頼します。POST方式でリクエストを送信し、認証はヘッダー認証を使用してAPIキーを設定します。リクエストボディには、前段階で生成されたプロンプト情報をJSON形式で送信します。

具体的なJSONペイロードには、動画テンプレートID、各シーンのボイステキスト、画像プロンプト、BGM設定などが含まれます。テンプレートIDを変更することで、異なるスタイルの動画を生成できるため、不動産業界向けに専用テンプレートを準備することも可能です。

音声生成システムの統合

Suno AIを活用した音楽生成機能も組み込みます。「モチベーションが上がるような低くかっこいい重低音の音楽」といったプロンプトを送信することで、動画の雰囲気に合ったBGMを自動生成できます。生成された音楽はダウンロードしてJonTo Videoのテンプレートに組み込みます。

音楽ファイルはURL形式で動画テンプレートに追加する必要があるため、一度アップロードしてURL化する処理も自動化できます。これにより、テキストから完全に自動化された動画制作フローが完成します。

スイッチモジュールによる分岐制御

動画生成は時間のかかる処理のため、スイッチモジュールを使用して生成状況に応じた分岐処理を実装します。ステータスが「done」の場合は完了処理、「running」の場合は30秒待機後に再確認、「error」の場合はエラー処理といった3つのルートを設定します。

「running」状態の場合は、Waitモジュールで30秒待機した後、再度HTTPリクエストで状況確認を行う循環処理を構築します。これにより、動画生成完了まで自動的に監視し続けることができます。

結果の自動保存とステータス更新

動画生成が完了すると、生成されたURLを自動的にGoogleスプレッドシートの「最終出力」列に記録します。同時に「制作状況」を「完了」に更新することで、どの動画が完成済みかを管理できます。エラーが発生した場合は「制作状況」を「エラー」に更新し、エラー内容もログとして記録します。

この仕組みにより、複数の動画を同時に管理しながら、それぞれの進捗状況を正確に把握できる完全自動化システムが完成します。管理者は定期的にスプレッドシートを確認するだけで、すべての動画の生成状況を把握できます。

活用例1: 新築マンション紹介

物件の基本情報（立地、間取り、価格、設備）をスプレッドシートに入力するだけで、魅力的な紹介動画を自動生成。ナレーション付きで物件の特徴を分かりやすく伝える動画が完成します。

活用例2: 市場分析レポート

地域の相場データや取引動向を視覚的に表現した動画を生成。投資家向けのプレゼンテーション材料として活用でき、信頼性の向上に寄与します。

活用例3: 顧客向け説明動画

住宅ローンの仕組みや税制優遇措置などの複雑な内容を、分かりやすいアニメーション動画で説明。顧客満足度の向上と成約率アップが期待できます。

期待される効果

• 動画制作コストの大幅削減（年間数百万円の節約効果）
• マーケティング効果の向上と成約率アップ
• 顧客満足度の向上と競合他社との差別化
• 業務時間の短縮と人的リソースの最適化